脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

2020-01-01から1年間の記事一覧

反射にも随意運動にも小脳は関わる

あらゆる反射に小脳コンピュータが補助的に入り、動きを調節している。大脳が命令して随意運動をする場合にも、小脳コンピュータが入って、動きを正確でスムーズなものにする。大脳が随意運動をするときには、その結果をフィードバックして、自ら正しく動い…

小脳の構造

小脳の構造は、中心部にたくさんの密集した核がある。 その核を薄いひだ(襞)のように折りたたまれた皮質(厚さはわずか0.5ミリメートル)が取り囲んでいる。 つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)発売日: 2016/11/25メディア: …

パーセプトロンとは何か

パーセプトロンは、学習能力を持つパターン認識機械である。ある入力パターンからある出力パターンを出すように学習させる。間違った結果が出ると、それをフィードバックして、素子間の結合を変化させる。正しいパターンが得られるまでそれを繰り返す。小脳…

小脳は大脳よりも多い?

大脳の下部、脳幹の後ろに、こぶのように張り出した130グラムの小脳には、大脳の神経細胞よりもはるかに多い神経細胞がある。具体的には、大脳皮質の細胞数は140億で、小脳では1000億以上もある。小脳の代表的な機能は、動作をスムーズに行うために、たくさ…

脳内の化学反応と遺伝子の関係

脳内の化学反応に、遺伝子が終始一貫関与している。細胞表面の受容体に科学刺激があると、すぐにその情報がDNAに伝えられて、タンパク質や酵素が作られる。

シナプス可塑性とは何か

脳のネットワーク作者:オラフ・スポーンズ発売日: 2020/04/03メディア: 単行本脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき (ブルーバックス)作者:毛内 拡発売日: 2020/12/17メディア: 新書分子・細胞・シナプスからみる脳 (シリーズ脳科学 5…

日本の脳研究のゴッドファーザー、「伊藤正男」

日本の脳研究のゴッドファーザー、「伊藤正男」 「伊藤正男」(fromWikipedia)小脳研究における世界的な権威である。脳科学者「伊藤正男」の著書たち 1)「脳の中身が見えてきた」 (岩波 科学ライブラリー)=記憶や学習をはじめとした脳の働きが、遺伝子の言葉…

裸のチンパンジー

裸のチンパンジー

考える大脳と反射する小脳、動眼反射

慣れない仕事は、大脳が考えながら計画を練り、これを実行する。慣れてくると、その仕事を小脳に移す。つまり、大脳が考えた仕事のモデル(ひな型)を小脳に移す。例えば、前庭動眼反射については、頭が動くと、三半規管がその動きを感じ、その動き情報を大脳…

ドーパミンと報酬と期待との関係

大脳基底核では、行動の結果がうまくいくとドーパミン(脳内報酬)が出る。そこで、多段階行動A⇒B⇒Cで餌がもらえる実験をする。そうすると、Cで報酬にありついたので、ドーパミンが出る。つまり、結果を見てからドーパミンが放出される。さらに同じ行動(実験)…

海馬は記憶を再生している

海馬では、睡眠中に、昼間活動したのと同じ時空間の興奮パターンを早送りで再生している。時には時間を逆転して再生している場合もある。記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)作者:池谷裕二発売日: 2014/06/27メディア: …

頭頂葉は何をしているのか

上図は「心脳迷宮:縁上回(えんじょうかい)」=from"livedoor Blog(ブログ)"から借用(感謝)。一般に、「頭頂葉」は、視覚、聴覚、触覚、体性感覚などを含む多様な感覚情報を相互に関連づける皮質領域である。頭頂葉で統合された感覚情報は「腹側運動前野」…

脳は一つのことしか集中できない

「スウェーデンの天才が語る「スマホ」真のヤバさ ポケットに入っているだけで集中力がそがれる」からの引用。「同時に複数の業務を処理していくマルチタスクは仕事の生産性が高まる理想の働き方のように思える」 「スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏に…

飲酒による注意力低下の原因がやっと解明

飲酒による注意力低下の原因がやっと解明される!ADHDなどの治療にも」からの引用。「エタノールが脳内で集中力を高める「ノルアドレナリン」の生成をブロックする」 「何かに集中したいとき、または椅子から立ち上がって活動的になるとき、脳幹はノルアドレナリ…

オキシトシンホルモンは何者なのか

オキシトシンホルモンは、女性が赤ちゃんを産むとき(分娩時)に子宮の収縮を誘発する。 また、お母さんのお乳を出すのを助ける。視床下部のオキシトシン神経細胞は、側坐核に送っている。オキシトシンホルモンの匂いを嗅ぐと相手を信用しやすくなる。ハタネズ…

強化学習と報酬に関わる脳部位

対人関係における信用を含めた報酬予測では、線条体が関与する。強化学習理論では、線条体と側坐核が、報酬予測や自らの報酬予測の正しさを評価する主要部位である。報酬予測や自らの報酬予測の正しさを評価する主要部位である尾状核は、あらかじめ与えられ…

違いを判別できる時間幅

「赤い光」を10㍉秒間照らし、そのすぐ後に「緑の光」を10㍉秒間照らす。 そうすると、赤い光の後に緑の光があったとは感じずに一定した「黄色の光」が続いたと感じられる。 赤+緑=黄次に、「青い光」を20㍉秒間照らし、そのすぐ後に「黄色の光」を20㍉秒…

心における「扁桃体」と「海馬」の役割

心は、 1)情(周囲の状況に対する価値判断/扁桃体)と 2)知(周囲の状況に対する認知/海馬)から成り立つ。情(情動行動)は、「扁桃体を中心」として、情動系ループと中脳・延髄のモノアミン(ドーパミン、セロトニンなど)神経細胞群とが相互に影響し合って制御…

「皮質-基底核-視床」ループ

情動に関わる行動プログラムは、前部帯状回、眼窩前野、側坐核、腹側淡蒼球、視床背内側核からなる「情動系ループ」に蓄えられる。 その内の腹側淡蒼球(淡蒼球内節)から運動出力される。また、「運動系ループ」は、「運動野、前運動野、補足運動野」、被殻、…

目の錯覚と「地と図」

「目の錯覚」 右のビンに描かれた絵の中に見えるのは二人の男女がとても愛し合っているようなイメージですよね。興味深いことに研究によると小さな子供たちはそれが見えません。理由は愛し合うカップルの映像というか概念が彼らの中にないからです。では彼ら…

ドーパミン神経細胞と報酬への意欲

ドーパミン神経細胞は、黒質緻密部と腹側被蓋野という部位に存在する。黒質緻密部は大脳基底核に多くの出力を送っている。大脳基底核(線条体・行動の座)は、大脳皮質(情報と知識の座)からとドーパミン神経細胞から豊富に入力を受けている。腹側被蓋野は側坐…

統合失調症とドーパミン

統合失調症では、発症前から、ひきこもり、友人と遊べない、新しい環境に慣れにくい、動作がぎこちないなど、さまざまな行動特徴が見られる。統合失調症者は、前頭葉が活性化するような課題においても活性しない。サルの前頭前野にドーパミンD1受容体の阻害…

ドーパミンと統合失調症

脳が障害されることにより、自我の障害が出現するような脳部位は存在しない。 言い換えると、「脳のどの部位が障害されても、統合失調症は出現しない」。さらに言い換えると、「統合失調症」は、脳の特定部位の障害によって起こるのではない。「セロトニン」…

大脳新皮質を肥大化させる遺伝子を特定!

「サルの脳に人間の遺伝子を移植したら、人間の脳のように肥大化!あの『猿の惑星』が現実に」からの引用。「「ARHGAP11B」が人間の大脳新皮質の拡大の原因である可能性が浮上」 「サルの胎児に人間の遺伝子を移植することによって、サルの脳のサイズを2倍にでき…

神経細胞の新生

認知症はもう不治の病ではない! 脳内プラズマローゲンが神経細胞を新生する作者:藤野 武彦,馬渡 志郎,片渕 俊彦発売日: 2015/09/30メディア: 単行本(ソフトカバー)人体はこうしてつくられる――ひとつの細胞から始まったわたしたち作者:ジェイミー・A. デイ…

ストレスホルモンとは

ストレスにさらされると、視床下部-下垂体-副腎皮質系の反応が生じる。 視床下部の室傍核の神経内分泌細胞から、コルチコトロピン放出因子ホルモンが放出される。 これが下垂体前葉に作用して、コルチコトロピン(副腎皮質刺激ホルモン)の放出を促す。 この …

ネガティブフィードバックとは

ダメ出しコミュニケーションの社会心理―対人関係におけるネガティブ・フィードバックの効果作者:繁桝 江里発売日: 2010/12/15メディア: 単行本ネガティブフィードバック (instrumental)発売日: 2010/07/09メディア: MP3 ダウンロードいったん分泌されたコル…

頭頂葉に映し出される対象の切り替わり

社会的上下関係を持つサルが餌を食べている状況において、社会的に他個体とつながっていない(つまり、その時点で社会的競合関係にない)場合には、左頭頂葉の神経細胞は、他者の運動・行動にはほとんど反応せず、自分の右手の動きにしか反応しない。つまり、…

一次運動野

計算論的神経科学: 脳の運動制御・感覚処理機構の理論的理解へ作者:田中 宏和発売日: 2019/06/14メディア: 単行本脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ作者:ブレイクスリー,サンドラ,ブレイクスリー,マシュー発売日: …

「ミラーニューロン」は何をしているのか

「ミラーニューロン」は、「自分」が特定の「行為」を行うときにも、「他者」が同様の「行為」を行うのを「観察」したときにも活動する。つまり、自分と他者の行為を鏡に映したように対応づける。行為の「対象となる事物」と「一体」となった「意味」のある…