脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

2020-10-01から1ヶ月間の記事一覧

感情とはヘーゲル弁証法の反である

「闘争反射」のようなものがそのまま遂行されてしまえば、「感情」は起こらない。「感情」とか「欲望」は、「反射」が抑えられたときに生まれる意識である。つまり、下位階層の機能に、ブレーキをかけたときに、意識が立ち上がる。そういう反射が強制的言語…

増強型と抑圧型

シナプスの信号の通りがよくなるのが増強型で、正しい答を出したときにほめる方式である。 シナプスの信号の通りが悪くなるのが抑圧型で、間違ったときに叱りつける方式である。

無意識、意識、注意

心の広さは、無意識、意識、注意とその時々の状態で変化する。「心」とは、「言語化とか反射が抑えられた結果によるものでいわば反射機能に付随して現象」だという考えもある。「介在神経細胞」のおかげで、「情報の受け取り」と「身体の運動」が直結するこ…

音から声(話し言葉)へ

聴覚情報を受け取る最初の領域は、側頭葉「ヘッシュル回」という聴覚一次受容野である。側頭葉ヘッシュル回が両側損傷すると、聴覚情報は一切大脳に入らない。左ヘッシュル回だけが損傷すると、ちゃんと聞こえるし言葉も理解でき、何も症状が出ない。左右ど…

"「脳科学」の壁"by榊原洋一

これは主に、その理論展開の方法、実験方法のずさんさなどへの批判である。 それを読んでいると、榊原洋一博士の反論にはなるほどと頷ける。しかし、だがしかしである、「音読や単純計算が脳を鍛える」という事実は間違いないのではないかとも思える。ただ、…

世界がなぜ三次元的(立体的)に見えるか

1)網膜は平面なので、我々が実際に得ている視覚情報は、世界の二次元投影像にすぎない。なのに、我々が知覚している世界は三次元である。両目からの情報(両眼視差)で脳が奥行きを計算している。脳が、網膜上に投影された二次元像を元に、物体の立体的な構造…

階層構造的反射

「考えて結論を出す大脳皮質に対して、反射は思考不要で正確な判断を下している。そうした働きを担う反射は、思考以前に完成された生物としての基本的な神経機構であって、膨大なエネルギーを消費する大脳皮質を煩わせることなく生命維持を果たしていくため…

帯状回、特に帯状回前部と能動・注意・努力

1)帯状回前部は、印刷された文字を受動的に見る際には活動しないが、新しい単語を考え出したり特定の目標を注目するときに活動する。 前頭葉の中心線に沿った帯状回前部が注意システムとしてはたらいている。 注)選択的注意では、前帯状回が関与する。2)頻度…

創発とは階層を上昇することである

「創発」とは、その性質が、それを作り出す素材の性質では説明できないものを創り出すことである。金槌という道具は、素材からは出てこない性質である。 心は神経系という素材をいくら分析しても出てこない。 金槌も心も働かせることによって生み出される。…

髄鞘化と発達順序

髄鞘化と発達順序。有髄線維は新生児では未熟で、次第に髄鞘が形成されてゆく。 無脊椎動物の神経線維は髄鞘がない。 脊椎動物では髄鞘化されていて、無髄神経線維よりも、五倍から百倍も伝達速度が速い。髄鞘化の進行速度は脳の部位によって違う。生まれた…

「心」を扱う脳科学者「山鳥重」

「心」を扱う脳科学者「山鳥重」 「山鳥 重」氏は、1939年兵庫県生まれ。神戸大学大学院医学研究科修了。医学博士。ボストン大学神経内科、神戸大学医学部神経科助教授等を経て、現在東北大学医学系研究科障害科学専攻高次機能障害学分野教授。専門は記憶障…

視覚野は視覚情報を扱うとは限らない

1)目の見える人が、目を閉じて人差し指での触覚で点字読解しても視覚野も活動しさらに活動部位も拡大する。つまり、触覚情報で構成される文字的記号(情報)は視覚野で処理される。2)相手の唇の動きだけを見て言葉を理解する読唇中の情報は、視覚情報であり、…

脳領域と言語の関連性

言語はさまざまな脳領域と結びついている。 言葉を発するには、前頭葉(運動野)と結びつくのでそこに発話領域を持つ。言語を聞くには側頭葉の聴覚野に領域を持つ。言葉の中身についてもそれが当てはまる。 色に関しての言葉は視覚情報に関するので、視覚野が…

大脳、大脳皮質、大脳新皮質

脳、大脳、大脳皮質、大脳新皮質などの用語の区別が今一はっきりしなかったので整理してみました。1)脳=大脳+小脳+脳幹。2)大脳=終脳=左右の大脳半球=灰白質+髄質。3)大脳皮質(灰白質)=大脳の表面に広がる、神経細胞の灰白質の薄い層。4)大脳皮質=…

体性感覚野

「体性感覚野」に作られている、自分の身体に関する表象である「身体地図」は可塑的に変化する。例えば、サルが熊手を使い餌をとるようになると、手先に置かれた餌に反応していた体性感覚野のニューロンが、熊手の先に置かれた餌にも反応するようになる。つ…

神経回路、シナプス形成

「神経回路網」の変化とは、主に1)「シナプス」の増減であり、2)「軸索」による配線の増減である。軸索や樹状突起が、損傷したり変性した場合には、トカゲの尻尾のように、発芽して新たに再生する。つまり、神経回路網は再生する。脳損傷によって生じた、運…

脳の集中と分散

運動野にある数千万のニューロンの内、腕の動作を95%の精度で予測するには、わずか500~700個のニューロンの情報を取るだけで十分である。これは、腕の動作を表す情報が、運動野の中に広く平均化され分散されていることを表す。 「集中」は効率的であるが、…

脳は競争原理で動く

脳は「競争原理」で動き、働き、変化する。脳は、筋肉と同じように、使われれば強くなり、広くなり、使われなくなれば弱くなり、狭くなる。脳は、使われれば、それに関する領域が拡大する。使われなくなれば、その領域は狭くなる。つまり、強い国に弱い国の…

観察者の関与、ゼノン効果

「ゼノン効果」は、間を置かず繰り返して観察すると、量子(原子)の属性(性質)がフリーズ(固定化)し、その状態に留まり続ける。見ていなければ起こったはずの展開が妨げられる。「量子ゼノン効果というものがあるんだそうである。初期状態から別の状態に遷移…

関心が脳に影響を与える

つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)発売日: 2016/11/16メディア: 新書。 関心が脳に影響を与える。具体的には、1)「関心を惹き付けるイメージに反応するニューロンは、周囲の刺激に反応するニューロンよりも強く発火する。…

背外側前頭前野の機能障害

前頭葉は脳の社長さん? 意思決定とホムンクルス問題 (ブルーバックス)作者:坂井克之発売日: 2015/01/16メディア: Kindle版障害される機能が「背外側前頭前野」である場合には、次のような症状を来す。1)作業記憶(ワーキングメモリ)が低下する。2)注意集中、…

背外側前頭前野(前頭前野背外側部

心が脳を変える―脳科学と「心の力」作者:シュウォーツ,ジェフリー・M.,ベグレイ,シャロン発売日: 2004/06/01メディア: 単行本背外側前頭前野(前頭前野背外側部 Dorsolateral prefrontal cortex)は、 脳の中で最も進化した部位であり、自発的な活動をする能力…

心が脳を変える

「心が脳を変える心が脳を変える―脳科学と「心の力」作者:シュウォーツ,ジェフリー・M.,ベグレイ,シャロン発売日: 2004/06/01メディア: 単行本」―脳科学と「心の力」byジェフリー・M. シュウォーツ (著), シャロン ベグレイ (著), Jeffrey M. Schwartz (原著…