脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

ドーパミンと統合失調症

脳が障害されることにより、自我の障害が出現するような脳部位は存在しない。
言い換えると、「脳のどの部位が障害されても、統合失調症は出現しない」。

さらに言い換えると、「統合失調症」は、脳の特定部位の障害によって起こるのではない。

セロトニン」と「ドーパミン」という神経伝達物質を持つ神経細胞は、脳幹部のみに存在する。
そこから脳全体に神経突起を送って、運動や知覚などの細かな機能に関係している。
つまり、「セロトニン」と「ドーパミン」は、脳全体の機能を調節する働きを持つ。

その内、ドーパミンを遮断すると、統合失調症が改善される。
そのわけは、「抗精神病薬」は「ドーパミンD2受容体」を遮断する作用を持つ。

こういう事実がある。反復的に服用すると、統合失調症とよく似た幻覚妄想状態を引き起こす幻覚剤は、「ドーパミントランスポーター」を阻害することで、ドーパミンの神経伝達を増加させる。
ということから、ドーパミン統合失調症の鍵である。

統合失調症は遺伝病ではないが、遺伝子が関係している。というのは、ドーパミンに何らかの点で関わりのある遺伝子が関与していると考えられるからである。