脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

歌を歌う鳴禽類

人と同じように、多種多様な音を出すことができて、個体同士が音でコミュニケートするのは、鳥類の鳴禽類だけである。参考資料→「「歌う鳥」の脳、人間の言語能力を解明する手がかりに」=from"WIRED VISION"1)人と鳥のみが二足歩行をしている。2)人も鳥も良…

大脳辺縁系の扁桃体

情動の発現には大脳辺縁系の扁桃体が主要な役割を果たす。その「扁桃体」へは、あらゆる感覚連合野(内臓感覚も含む)からの情報が流れ込む。その情報をすべて統合して、さらに記憶情報とも照合した上で、生物学的な価値評価を与えるのが扁桃体の役割である。…

海馬にある「場所ニューロン」

海馬にある「場所ニューロン」は、特定の場所に行ったときだけ発火する、場所の認知細胞である。 エピソード記憶には、必ず場所が必須の要素として入っている。 場所情報がしばしば記憶を呼び起こす際の手がかり(索引)として機能している。「脳」を知る―週刊…

大脳辺縁系が担当する情動

情動の発現には大脳辺縁系の扁桃体が主要な役割を果たす。扁桃体へは、あらゆる感覚連合野(内臓感覚も含む)からの情報が流れ込む。その情報に生物学的な価値評価を与えるのが扁桃体である。大脳辺縁系が担当する「情動」は、原始的本能的行動の情的部分であ…

MRI(核磁気共鳴断層撮影装置)は何ができるのか

MRI(核磁気共鳴断層撮影装置)は、解像度(精度)がものすごく高い。 さらにどのような角度からの断面でも撮影できる。 骨に邪魔されることもない。 また、組織の微妙な違いがコントラスト(黒い部分から白い部分までの幅や明度差)の違いとして表現される。 MRI…

脳の中の「ホムンクルス」

図版は「歯の百科事典~歯医者さんとスタッフによるブログ~: ホムンクルスの小人」から借用、感謝。カナダのペンフィールドは、20年以上に渡り、合計400人以上の患者の頭蓋を開いて、次々に脳に電気刺激を与え、その時どのような運動反応、感覚反応、精神反…

頭(脳)の大小と働き(能力)との関係

頭が大きい人は、小さな人よりも糖代謝レベルが低い。 故に、糖代謝総量で見れば、脳の働きに頭の大小は関係がない。進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)作者:池谷 裕二発売日: 2007/01/19メディア: 新書脳はいいかげんにで…

個人差が激しい脳の老化

脳の老化は個人差が激しく、糖尿、血圧、老人性疾患に心配のなく完全に健康であれば、脳の萎縮はほとんど起こらない。 80歳を過ぎても萎縮程度は5%程度である。 また、健康な人であれば、糖代謝総量は20歳から70歳までほとんど変化がない。脳寿命を延ばす 認…

漢字文字とカナ文字との情報経路の違い

脳損傷によって、漢字だけ読めなくなる、カナだけ読めなくなる人がいる。「カナ」(カタカナとひらがな)の場合は、視覚野に入った情報は、「角回」へと回ってから、言語中枢に入る。 注)「角回」はブロードマンの脳地図における「39野」「漢字」の場合には、…

PETは何をするのか

PET(陽電子放射断層撮影装置)は、脳内のさまざまな物質の動きをつかまえて画像化する。 脳活動の化学的な側面(例えば、酸素の消費、グルコースやアミノ酸の代謝、情報伝達物質の受容体)を捉える。 測定したい化学物質に放射能の標識をつけて脳内に送り込み、…

体性感覚野とアクティブタッチ(能動的触覚)

体性感覚野のうち、3a野と3b野はある程度の点対点対応が成り立ち、体部位再現図に近いものが描ける。しかし、1野と2野では、対応関係が崩れて、一つのニューロンが複数の受容器から情報を受け取っており、その受容野は広く、点対点対応は成り立たない。とこ…

前頭葉46野は何をするのか

前頭葉の46野は、一度覚え込んだ行動を停止させる。 ここが、やっても無駄な行動はやるなという指令を出す。脳を育て、夢をかなえる―脳の中の脳「前頭前野」のおどろくべき働きと、きたえ方 (くもんジュニアサイエンス)作者:川島 隆太発売日: 2003/07/01メデ…

文字解読の脳内処理順序

文字を読むと、 1)網膜から出た電気信号は、60~70㍉秒後に、左の第一次視覚野に到達する。 参考資料→「視覚野」(fromWikipedia)そこで約10㍉秒だけ局在した活動が見られる。2)次に数十㍉秒に渡って、ニューロン活動は皮質中に広がる。3)その後視覚連合野(19…

ノックアウトマウスと分子生物学

脳の中ではたくさんの化学物質(100をはるかに超える)が作用し合っている。その内の多くが「タンパク質」(fromWikipedia)である。タンパク質はDNAにコードされた「遺伝情報を元に」細胞内で作られる。それ故に、そのコードされた「遺伝情報を破壊」すれば、特…

脳の特定箇所に電流を少々流すだけで、人は別の誰かに

「「脳の特定の箇所に電流を少々流すだけで、人は別の誰かになってしまう」ヒトの脳を直接電極で刺激する「脳深部刺激療法 」が、いま「最先端医療」として確立されつつある【橘玲の日々刻々】」 自己免疫疾患の謎作者:アニータ・コース,ヨルゲン・イェルスタ…

昼寝の効用とコーヒーの効果

下の文章は、「「1時間半の昼寝は1晩分の効果」、睡眠の新発見続々と 米国 国際ニュース : AFPBB News」からの引用である。 注)一部分加筆している。1)「高齢者」では「睡眠時間が長い」ほど記憶が維持される。 「若年者」では睡眠時間あたりの「眠りの深さ…

性同一性障害と分界条床核の大きさ

1)「性同一性障害:中1女子が男子として通学へ」=from"毎日jp(毎日新聞)"2)「質問なるほドリ:性同一性障害って、どういうことなの?=回答・丹野恒一」=from"毎日jp(毎日新聞)" 「体の性別と心の性別が一致せずに悩むこと」性同一性障害の「原因とし…

孤独な人は、デフォルトモードネットワークが大きいかも?

「孤独な人は「内なる声」と会話するため脳に特徴があることが判明」から引用する。 「自分は孤独であると答えた人は、「 デフォルトモードネットワーク」と呼ばれる脳領域のいくつかが、孤独ではないと答えた人に比べて大きい」 「デフォルトモードネットワーク…

脳は1つのことにしか集中できない

「スウェーデンの天才が語る「スマホ」真のヤバさ ポケットに入っているだけで集中力がそがれる」からの引用。「同時に複数の業務を処理していくマルチタスクは仕事の生産性が高まる理想の働き方のように思える」 「スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏に…

プログラムのコードを読む時に活性化される脳の領域は何処だ

「プログラムのコードを読む時に活性化される脳の領域は言語処理と同じではない」から引用。 1)「コードを読む時に活性化する脳の部位は、言語処理に使われる領域と一致しない」 2)「被験者がコードを処理する際に、言語領域がほとんど反応しておらず、代わりにmu…

脳研究と分子生物学との関わり

遺伝子の転写や翻訳、DNAの複製や修復、細胞周期、細胞内シグナル伝達などの細胞レベルの研究から、 細胞間接着、発生、神経の機能、遺伝病の原因解明等、生命を研究対象とする殆ど全ての生物学は「分子生物学」の対象であり、 生命現象を分子を使って説明(…

能力(脳力)は潜在する

人間も犬やウサギ並みの嗅覚能力を持っている。能力は退化したのではなく、ただ眠っているだけである。人体の限界 人はどこまで耐えられるのか 人の能力はどこまで伸ばせるのか (サイエンス・アイ新書)作者:山崎 昌廣発売日: 2018/03/16メディア: Kindle版「…

体性感覚野での脳梗塞

NHKスペシャル 脳がよみがえる 脳卒中・リハビリ革命作者:市川 衛発売日: 2011/09/04メディア: 単行本脳卒中患者だった理学療法士が伝えたい、本当のこと作者:小林 純也発売日: 2017/09/30メディア: 単行本(ソフトカバー)脳梗塞で、体性感覚野が局部的に破…

体性感覚と視覚の情報が統合

5野では両手の情報が統合され、7野では体性感覚と視覚の情報が統合される。人体スペシャル 脳の地図帳作者:原 一之発売日: 2005/01/20メディア: 大型本脳地図を書き換える作者:生田 哲発売日: 2013/05/02メディア: Kindle版脳のなかの匂い地図 (PHPサイエン…

体性感覚野とは

体性感覚を大別すると、 1)皮膚感覚と 2)深部感覚に 分けられる。深部感覚は、位置感覚、動き感覚、力と重さ感覚として感じられる。 例えば、皮膚感覚として、人の手指のひら(腹)側には、機械的受容を受け持つ有髄神経が、1万7000本あり、さらにそれぞれ1本…

脳の嗅覚系は最も古い情報系である

嗅覚系の中でも、嗅細胞の受容体が匂い分子を捉えて反応するという部分は、神経系よりもさらに古い。単細胞生物ですら持っている最も古い情報系である。嗅覚系は脳の中でも最も古い部分で、脳は嗅脳から始まった。他の視覚や聴覚信号などが、視床や大脳皮質…

味と色はアルファベット、宇宙はアルファベットで構成

味覚は、酸味、甘味、苦味、塩味、が基本四原味である。しかし、近年、これに旨味を加えて五原味を基本とする人も多い。これらの基本四原味の組み合わせによって、すべての味が構成されている。色の方は、赤、青、緑の三原色である。これらの組み合わせによ…

嗅覚システム

鼻腔の天井部分に、5平方センチほどの粘膜層である嗅上皮がある。 そこに嗅細胞が5000万個くらいが並んでいる。 嗅細胞の先にある繊毛に匂い分子の受容体が並んでいる。 匂いは化学物質で、受容体はタンパク質である。 匂いと受容体は鍵と鍵穴の関係である。…

形に関する視覚情報の流れ

網膜から入った「形に関する視覚情報」は、V1(第一次視覚野)→V2(第二次視覚野)→V4(第四次視覚野)→PIT→AITへと流れて行く。網膜から第一次視覚野に入った視覚情報は、形に関する情報、色に関する情報、運動と立体視に関する情報に振り分けられる。第一次視覚…

小脳とシミュレーション(模擬行動)

私たちの、スピードを要求される行動においては、大脳によるフィードバック制御ではとうてい間に合わない。 かといって、前向き制御(フィードフォワード制御)では、スピードは速いけれども、誤動作を起こしやすい。そこで脳が採用する方法は、小脳を使うこと…