脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

文字解読の脳内処理順序

文字を読むと、 1)網膜から出た電気信号は、60~70㍉秒後に、左の第一次視覚野に到達する。 参考資料→「視覚野」(fromWikipedia)そこで約10㍉秒だけ局在した活動が見られる。2)次に数十㍉秒に渡って、ニューロン活動は皮質中に広がる。3)その後視覚連合野(19…

ノックアウトマウスと分子生物学

脳の中ではたくさんの化学物質(100をはるかに超える)が作用し合っている。その内の多くが「タンパク質」(fromWikipedia)である。タンパク質はDNAにコードされた「遺伝情報を元に」細胞内で作られる。それ故に、そのコードされた「遺伝情報を破壊」すれば、特…

脳の特定箇所に電流を少々流すだけで、人は別の誰かに

「「脳の特定の箇所に電流を少々流すだけで、人は別の誰かになってしまう」ヒトの脳を直接電極で刺激する「脳深部刺激療法 」が、いま「最先端医療」として確立されつつある【橘玲の日々刻々】」 自己免疫疾患の謎作者:アニータ・コース,ヨルゲン・イェルスタ…

昼寝の効用とコーヒーの効果

下の文章は、「「1時間半の昼寝は1晩分の効果」、睡眠の新発見続々と 米国 国際ニュース : AFPBB News」からの引用である。 注)一部分加筆している。1)「高齢者」では「睡眠時間が長い」ほど記憶が維持される。 「若年者」では睡眠時間あたりの「眠りの深さ…

性同一性障害と分界条床核の大きさ

1)「性同一性障害:中1女子が男子として通学へ」=from"毎日jp(毎日新聞)"2)「質問なるほドリ:性同一性障害って、どういうことなの?=回答・丹野恒一」=from"毎日jp(毎日新聞)" 「体の性別と心の性別が一致せずに悩むこと」性同一性障害の「原因とし…

孤独な人は、デフォルトモードネットワークが大きいかも?

「孤独な人は「内なる声」と会話するため脳に特徴があることが判明」から引用する。 「自分は孤独であると答えた人は、「 デフォルトモードネットワーク」と呼ばれる脳領域のいくつかが、孤独ではないと答えた人に比べて大きい」 「デフォルトモードネットワーク…

脳は1つのことにしか集中できない

「スウェーデンの天才が語る「スマホ」真のヤバさ ポケットに入っているだけで集中力がそがれる」からの引用。「同時に複数の業務を処理していくマルチタスクは仕事の生産性が高まる理想の働き方のように思える」 「スウェーデンの精神科医アンデシュ・ハンセン氏に…

プログラムのコードを読む時に活性化される脳の領域は何処だ

「プログラムのコードを読む時に活性化される脳の領域は言語処理と同じではない」から引用。 1)「コードを読む時に活性化する脳の部位は、言語処理に使われる領域と一致しない」 2)「被験者がコードを処理する際に、言語領域がほとんど反応しておらず、代わりにmu…

脳研究と分子生物学との関わり

遺伝子の転写や翻訳、DNAの複製や修復、細胞周期、細胞内シグナル伝達などの細胞レベルの研究から、 細胞間接着、発生、神経の機能、遺伝病の原因解明等、生命を研究対象とする殆ど全ての生物学は「分子生物学」の対象であり、 生命現象を分子を使って説明(…

能力(脳力)は潜在する

人間も犬やウサギ並みの嗅覚能力を持っている。能力は退化したのではなく、ただ眠っているだけである。人体の限界 人はどこまで耐えられるのか 人の能力はどこまで伸ばせるのか (サイエンス・アイ新書)作者:山崎 昌廣発売日: 2018/03/16メディア: Kindle版「…

体性感覚野での脳梗塞

NHKスペシャル 脳がよみがえる 脳卒中・リハビリ革命作者:市川 衛発売日: 2011/09/04メディア: 単行本脳卒中患者だった理学療法士が伝えたい、本当のこと作者:小林 純也発売日: 2017/09/30メディア: 単行本(ソフトカバー)脳梗塞で、体性感覚野が局部的に破…

体性感覚と視覚の情報が統合

5野では両手の情報が統合され、7野では体性感覚と視覚の情報が統合される。人体スペシャル 脳の地図帳作者:原 一之発売日: 2005/01/20メディア: 大型本脳地図を書き換える作者:生田 哲発売日: 2013/05/02メディア: Kindle版脳のなかの匂い地図 (PHPサイエン…

体性感覚野とは

体性感覚を大別すると、 1)皮膚感覚と 2)深部感覚に 分けられる。深部感覚は、位置感覚、動き感覚、力と重さ感覚として感じられる。 例えば、皮膚感覚として、人の手指のひら(腹)側には、機械的受容を受け持つ有髄神経が、1万7000本あり、さらにそれぞれ1本…

脳の嗅覚系は最も古い情報系である

嗅覚系の中でも、嗅細胞の受容体が匂い分子を捉えて反応するという部分は、神経系よりもさらに古い。単細胞生物ですら持っている最も古い情報系である。嗅覚系は脳の中でも最も古い部分で、脳は嗅脳から始まった。他の視覚や聴覚信号などが、視床や大脳皮質…

味と色はアルファベット、宇宙はアルファベットで構成

味覚は、酸味、甘味、苦味、塩味、が基本四原味である。しかし、近年、これに旨味を加えて五原味を基本とする人も多い。これらの基本四原味の組み合わせによって、すべての味が構成されている。色の方は、赤、青、緑の三原色である。これらの組み合わせによ…

嗅覚システム

鼻腔の天井部分に、5平方センチほどの粘膜層である嗅上皮がある。 そこに嗅細胞が5000万個くらいが並んでいる。 嗅細胞の先にある繊毛に匂い分子の受容体が並んでいる。 匂いは化学物質で、受容体はタンパク質である。 匂いと受容体は鍵と鍵穴の関係である。…

形に関する視覚情報の流れ

網膜から入った「形に関する視覚情報」は、V1(第一次視覚野)→V2(第二次視覚野)→V4(第四次視覚野)→PIT→AITへと流れて行く。網膜から第一次視覚野に入った視覚情報は、形に関する情報、色に関する情報、運動と立体視に関する情報に振り分けられる。第一次視覚…

小脳とシミュレーション(模擬行動)

私たちの、スピードを要求される行動においては、大脳によるフィードバック制御ではとうてい間に合わない。 かといって、前向き制御(フィードフォワード制御)では、スピードは速いけれども、誤動作を起こしやすい。そこで脳が採用する方法は、小脳を使うこと…

反射にも随意運動にも小脳は関わる

あらゆる反射に小脳コンピュータが補助的に入り、動きを調節している。大脳が命令して随意運動をする場合にも、小脳コンピュータが入って、動きを正確でスムーズなものにする。大脳が随意運動をするときには、その結果をフィードバックして、自ら正しく動い…

小脳の構造

小脳の構造は、中心部にたくさんの密集した核がある。 その核を薄いひだ(襞)のように折りたたまれた皮質(厚さはわずか0.5ミリメートル)が取り囲んでいる。 つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)発売日: 2016/11/25メディア: …

パーセプトロンとは何か

パーセプトロンは、学習能力を持つパターン認識機械である。ある入力パターンからある出力パターンを出すように学習させる。間違った結果が出ると、それをフィードバックして、素子間の結合を変化させる。正しいパターンが得られるまでそれを繰り返す。小脳…

小脳は大脳よりも多い?

大脳の下部、脳幹の後ろに、こぶのように張り出した130グラムの小脳には、大脳の神経細胞よりもはるかに多い神経細胞がある。具体的には、大脳皮質の細胞数は140億で、小脳では1000億以上もある。小脳の代表的な機能は、動作をスムーズに行うために、たくさ…

脳内の化学反応と遺伝子の関係

脳内の化学反応に、遺伝子が終始一貫関与している。細胞表面の受容体に科学刺激があると、すぐにその情報がDNAに伝えられて、タンパク質や酵素が作られる。

シナプス可塑性とは何か

脳のネットワーク作者:オラフ・スポーンズ発売日: 2020/04/03メディア: 単行本脳を司る「脳」 最新研究で見えてきた、驚くべき脳のはたらき (ブルーバックス)作者:毛内 拡発売日: 2020/12/17メディア: 新書分子・細胞・シナプスからみる脳 (シリーズ脳科学 5…

日本の脳研究のゴッドファーザー、「伊藤正男」

日本の脳研究のゴッドファーザー、「伊藤正男」 「伊藤正男」(fromWikipedia)小脳研究における世界的な権威である。脳科学者「伊藤正男」の著書たち 1)「脳の中身が見えてきた」 (岩波 科学ライブラリー)=記憶や学習をはじめとした脳の働きが、遺伝子の言葉…

裸のチンパンジー

裸のチンパンジー

考える大脳と反射する小脳、動眼反射

慣れない仕事は、大脳が考えながら計画を練り、これを実行する。慣れてくると、その仕事を小脳に移す。つまり、大脳が考えた仕事のモデル(ひな型)を小脳に移す。例えば、前庭動眼反射については、頭が動くと、三半規管がその動きを感じ、その動き情報を大脳…

ドーパミンと報酬と期待との関係

大脳基底核では、行動の結果がうまくいくとドーパミン(脳内報酬)が出る。そこで、多段階行動A⇒B⇒Cで餌がもらえる実験をする。そうすると、Cで報酬にありついたので、ドーパミンが出る。つまり、結果を見てからドーパミンが放出される。さらに同じ行動(実験)…

海馬は記憶を再生している

海馬では、睡眠中に、昼間活動したのと同じ時空間の興奮パターンを早送りで再生している。時には時間を逆転して再生している場合もある。記憶力を強くする 最新脳科学が語る記憶のしくみと鍛え方 (ブルーバックス)作者:池谷裕二発売日: 2014/06/27メディア: …

頭頂葉は何をしているのか

上図は「心脳迷宮:縁上回(えんじょうかい)」=from"livedoor Blog(ブログ)"から借用(感謝)。一般に、「頭頂葉」は、視覚、聴覚、触覚、体性感覚などを含む多様な感覚情報を相互に関連づける皮質領域である。頭頂葉で統合された感覚情報は「腹側運動前野」…