脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

脳の階層構造

高い階層から低い階層へのフィードバックの軸索の終末ゾーンは、フィードフォワードよりも広い範囲にわたり、より多くのニューロンと接触している。 階層構造は、視覚、体性感覚野、聴覚野にも存在する。 脳の階層構造図は、大学や会社の組織図と似ているが…

頭頂葉の損傷で失認する

頭頂葉を損傷すると、見えていても失認する、認識できなくなる。それは、視覚野の神経細胞が情報を感知しても、頭頂葉の地図にそれを表示できないからだろうと思われる。例えば、左半分失認者は、失認範囲に物体を置くと、当人の視覚野の神経細胞はちゃんと…

脳が意識できるのは一度に一つ

二通りに解釈できる絵を見たとき、脳は一度に一つしか意識できない。両目に別々の絵を見せるとき、両方の情報が入っていても、脳が意識できるのは一度に一つである。赤と青の映像を見せると、異なる脳領域が活性化する。それであっても、今意識している映像…

意識的な知覚に至るには

連合野がメッセージを表現する頃には、もう第一次感覚野の最初の活動は収まっている。しかし、例えば、高次視覚領域から一次視覚野(V1)や二次視覚野(V2)にフィードバックが送られて、V1やV2が再び活性化する。意識的な知覚は、各レベル(段階)の神経細胞が同…

意識と無意識

明示的な情報は、暗示的な情報よりも計算が深い(たくさんの計算[処理過程]を必要とする)。 暗示的な情報を処理していくことによって、明示的な情報になる。 暗示的な情報=無意識(段階) 明示的な情報=意識(段階)感情バカ 人に愚かな判断をさせる意識・無意…

色の感覚は脳が作り出す

色の感覚は、神経系によって作られる。色覚は、異なる種類の錐体細胞の活動を比較することによって計算される。外の世界に赤や青が実際しているわけではない。「色のふしぎ」と不思議な社会 ――2020年代の「色覚」原論 (単行本)作者:裕人, 川端発売日: 2020/1…

脳波と脳活動

神経細胞が発火する頻度は、1ヘルツ(=1秒間に1回)から250ヘルツまでの幅がある。発火頻度が高ければ高いほど意識が現れやすい。発火頻度(ヘルツ)と意識との間には相関関係がある。全体的な脳波状態とは別に、神経細胞が集中的に発火している部分もあり、そ…

意識の随伴現象論

意識の随伴現象論は、「意識は脳の副産物に過ぎず、行動には何の結果も及ぼさない」、という。 その大きな根拠としては、「自発的な行動の0.5秒前に、大脳皮質で準備電位」という波のような変化が起こっている。意識的な決定の0.5秒前に、脳の方ではすでに動…

意識と無意識の差は

液晶ディスプレイでは、赤・緑・青の3つのサブ画素(サブ・ドット)のそれぞれの輝度を制御することで多様な色を生み出している。つまり、私たちは、テレビ画面やパソコン画面に画素(ドット・点)がついたり消えたりしている現象を見て、きれいな女性がセクシー…

「意識の探求―神経科学からのアプローチ」byクリストフ・コッホ

クリストフ・コッホ(Christof Koch, 1956年11月13日 – )はアメリカ、カリフォルニア工科大学で活躍する神経科学者 意識の探求―神経科学からのアプローチ (上) =クリストフ・コッホ著「意識の探求」は、「脳?意識」の問題に対して、どのような神経科学的な…

意識へ到達する情報とは

神経細胞一つの活動では、意識に入ってこない。まとまった神経細胞が同時に活発になるくらい強い刺激になって初めて意識される。反応する神経細胞がどんどん増えていき、ある数を超えるところで、意識に到達する。無意識段階で、かなりの事柄が処理されてい…

体性感覚野と身体地図その2

大脳皮質の体性感覚野の神経細胞は、身体に加えられた物理刺激に反応する。身体各部と各細胞の対応関係は比較的はっきりしている。 10)中指を消失すると、それへの刺激に反応していた細胞が、隣接の人差し指や薬指に対する刺激に反応するようになる。中指に…

視力回復者が画像を認識するために

生まれつきの盲者は、手術などで視力を回復して、脳に視覚情報が入ってきても、それを画像として認識できない。つまり、一つのまとまった意味ある画像として、認識するためには、それらをまとめる核になるものが必要である。そのために、すでに持っている非…

「本田仁視」の著書たち

「本田仁視」氏は、1948年福島県生まれ。東北大学文学部卒業。同大学院文学研究科博士課程中退。博士(文学)。東北大学文学部助手を経て、新潟大学人文学部助手、助教授、教授、2008年逝去。 著書の紹介 「意識/無意識のサイエンス―症例と実験による心の解剖」…

概念が生まれる前から扁桃体に組み込まれて

霊長類の場合は、「ヘビ=危険」という概念が生まれる前から扁桃体に組み込まれている。生まれる前から組み込まれている「ヘビ=危険」の概念が目覚めるためには、それを経験する他人の姿を見る必要がある。サルの赤ん坊は生まれて初めてヘビを見ても恐怖を…

解離

継続する脅威に対して、苦痛や恐怖から距離を置く試みとして、外に向いた注意の方向を内に切り替えて、夢うつつ、放心、無抵抗の、動物が見せる狸寝入り、という解離状態に入る。

随意運動から無意識運動へ

大脳が随意運動をするときには、大脳はその結果をフィードバックして、自ら正しく動いたかどうかチェックしながら慎重にやっていく。それを小脳が脇からモニターして片っ端から学習して記憶する。小脳が記憶してしまうと、もう大脳の慎重なフィードバックは…

いじめや虐待の心理と脳構造

継続する脅威に対して、苦痛や恐怖から距離を置く試みとして、外に向いた注意の方向を内に切り替えて、夢うつつ、放心、無抵抗の、動物が見せる「狸寝入り」とおなじ解離状態に入る。これは高僧などが坐禅や瞑想で、苦痛などに対して、対処する方法と同じだ…

睡眠と覚醒の切り替え

睡眠と覚醒を切り替えるのは、脳の網様体と視床皮質系の変化であり、その推移は、神経細胞の振動数(脳波)で特徴づけられる。網様体は、視床につながっていて視床皮質系を構成する、密集した双方向の伝達経路を通じて皮質のあらゆる部分と連絡している。網様…

時間的づれ

意識は瞬時に現れるものではなく、視覚刺激が脳に到達してから意識が出来上がるまでにいくらか時間(0.2秒)がかかる。 視覚信号は、意識的な視覚や聴覚、情動、思考、知覚に変換すべく大量の作業をこなし、一つにまとめられて意識的な認識となる。 脳が体験を…

認識するには注意が向く必要

絵の範囲(境界線)を認識するには、単に視覚野の神経細胞が活発になるだけではダメで、そこに注意が向く必要がある。知的障害・発達障害児における実行機能に関する脳科学的研究 プランニング・注意の抑制機能・シフティング・ワーキングメモリ・展望記憶作者…

前頭葉型認知症

前頭葉型認知症患者は、ある日突然古い記憶を驚くほど鮮明に思い出せるようになる。正常な人の前頭葉を一時的に停止させると、計算や記憶能力が高まる。前頭葉のしくみ: からだ・心・社会をつなぐネットワーク (ブレインサイエンス・レクチャー)作者:元, 虫…

フィードバックとフィードフォワード

フィードバック制御では、ずれていた分だけ、間違っていた分だけ、修正する。しかし、この方法では間に合わないことが多い。フィードフォワード制御は、予めこうなるだろうと予測して制御する。熟練者は、フィードフォワード制御を行う。体が覚えているとは…

脊髄反射と意識

熱いものに触れたとき、反射的に手を離す。この時、熱いというクオリアは意識されるが、意識は手を動かす判断には介在しない。感覚情報は脊髄でフィードバックされて脊髄反射する。反射を起こす刺激は大脳皮質まで送られるものの、反射の中枢はそれ以前にあ…

本能行動の座(中枢)

刺激に対して機械的反応をする本能行動(摂食、飲水、性行動)の中枢は視床下部に密集している。 刺激に対して機械的に反応する反射系で、その中枢は脊髄と脳幹に局在している。機械的動作(歩行や泳ぎ)の中枢は脊髄と脳幹に局在している。感じる脳 情動と感情…

階層構造的学問体系/物理学⇒化学⇒生物学

私はすべての分野が階層構造的に積み上がってゆくと見る。 学問の世界でも、 1)物理学⇒2)化学⇒3)生物学⇒4)心理学⇒5)哲学⇒6)宗教。 へと知識が積み上がってゆくと見る。記述レベル。脳の活動を1)原子レベルで記述することもできるし、2)生化学のレベルで記述…

意識は何のためにあるのだろうか

「エピソード(個人史)」を記憶するためには、エピソードを個人的に体験しなければならない。無意識のこびとたちの多様な処理を、一つにまとめて個人的な体験に変換するために、必要十分なものが「意識」である。つまり、意識は、エピソード記憶をするために…

脳は似た事柄へは同じ機能で処理

英語でも日本語でも、読んでいる人が同じ人間であれば、脳は全く同じように処理する。というのは、脳は、最初に読み方を習った言語によってその使い方を決定する。その後、二つ目の言語の読み方を習うときには、最初に決定した脳の使い方をそのまま使いなが…

記憶の場はどこにあるのか

ニューロンの学習能力=ニューロンの可塑性=記憶の根源=記憶の場。情報を処理する部位=情報を記憶する部位。 つまり、大脳皮質全体が記憶の場。学習過程での実践処理を記憶としてニューロンのネットワークの中に蓄えてゆく。記憶力を強くする 最新脳科学…

オーグメンテッドリアリティー

オーグメンテッドリアリティー。自分が画像の中に描かれていると、仮想世界への没入感が増して、仮想操作や遠隔操作をより自然に行える。