脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

帯状回、特に帯状回前部と能動・注意・努力

1)帯状回前部は、印刷された文字を受動的に見る際には活動しないが、新しい単語を考え出したり特定の目標を注目するときに活動する。
前頭葉の中心線に沿った帯状回前部が注意システムとしてはたらいている。
注)選択的注意では、前帯状回が関与する。

2)頻度の低い目標を検出するために単語のリストに注意するとき、主観的な感覚としては頭の中の思考や感覚を空にしている。
この主観的な意識を空にすることには、右前頭葉頭頂葉の警告ネットワークの増大と、帯状回前部の活動の低下が伴う。

3)目標を検出する努力感が帯状回前部の活動を伴うのとちょうど逆に、思考を空にすることはその無活動を伴う。

4)前頭葉背外側部と帯状回前部の間に密接な解剖学的連絡があり、注意を必要とする多くの自発的な行動において両者が重要な役割を果たす。

5)被験者に視覚的あるいは聴覚的に単語を提示してその意味を思い出すよう要求すると、帯状回前部と言語に関連する左半球の前頭・頭頂領野がともに活動する。

6)能動的な処理の際には外側前頭・後頭の意味領野や帯状回前部の発火も増加する。
練習によって自動的にできるようになると、これらの高次領野の活動は消え、感覚・運動領野の活動だけが残る。

7)大脳辺縁系の一部である帯状回は動機付けの中枢とされており、やる気を起こすかどうかはここで決まる。

8)注意を集中するときに、帯状回が活動する。

9意味のある単語を聞くと、両側の側頭野内聴覚連合野、注意力に関係する左前帯状回が活動する。

これらを総合すると、「帯状回」、特に「帯状回前部」(前部帯状回)は、能動的な注意や意志や意欲を生み出す場であろう。

逆から言えば、「意識を空にする」「心の受動性を保つ」には、「帯状回」、特に「帯状回前部」(前部帯状回)の機能を停止させなければならないのだろう。