脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

髄鞘化と発達順序

髄鞘化と発達順序。

有髄線維は新生児では未熟で、次第に髄鞘が形成されてゆく。
無脊椎動物の神経線維は髄鞘がない。
脊椎動物では髄鞘化されていて、無髄神経線維よりも、五倍から百倍も伝達速度が速い。

髄鞘化の進行速度は脳の部位によって違う。

生まれた直後は皮膚や筋肉と直接連絡する末梢神経が出る脊髄や呼吸する筋や首から上の筋肉を制御する脳神経の中枢のある脳幹(延髄、橋、中脳)間で髄鞘化が起こっています。
生まれたばかりの赤ちゃんの脳は脳幹が支配しています。

誕生後まもなく小脳と中脳が髄鞘化される。

三~四カ月頃、視神経から視覚中枢である後頭葉に向かう白質の髄鞘化ができ、頭頂葉の皮質下の白質の髄鞘化ができつつある。

1歳半以降の発達段階は、軸索と樹状突起の伸長と枝分かれ軸索の髄鞘形成によって起きている。

体性感覚野の髄鞘化は出生時にはすでに始まっており、ピーク状態は一歳半頃までで、完成するのは約二歳である。

体性感覚野の次に、運動野、それから頭頂葉、側頭葉、前頭葉の皮質が髄鞘化する。

運動野(前頭葉後部)は全身の筋運動を起こす電気信号の出ていく場所で、髄鞘化は出生時にはすでに始まっており、ピーク状態は一歳半頃までで、完成するのは約二歳である。

誕生後1年から2年で、視床基底核辺縁系の一部が、髄鞘化される。

大脳皮質は髄鞘化が遅いが、同じ大脳皮質の中でも、人間で特に発達している前頭葉と側頭葉では特に遅い。

新生児の場合、左半球と右半球を結ぶ脳梁神経は完全に発達しておらず、分割脳患者のようにほとんど分離している。両者間の結線(神経線維の髄鞘形成)は漸進的過程であり、おおむね六歳までに完成する。

髄鞘化が大脳のすべての部位で完成するのは十歳前後である。