運動野にある数千万のニューロンの内、腕の動作を95%の精度で予測するには、わずか500~700個のニューロンの情報を取るだけで十分である。
これは、腕の動作を表す情報が、運動野の中に広く平均化され分散されていることを表す。
「集中」は効率的であるが、故障すると、壊滅的になる可能性が高い。
それに対して、「分散」は、故障によっても大きな被害にならずに済む。しかも、その部分を取り替えるだけで回復可能である。
例えば、企業がある一つの製品だけを製造するならば、その製造ができなくなれば、あるいはその製品が売れなくなれば、その企業は倒産する可能性は極めて高い。
それに対して、いくつもの製品を製造しているならば、その内一つがダメになっても、倒産にまでは至らないだろう。
とはいっても、手を広げすぎ、不採算部門が多すぎても、一つのヒット商品では回復できなくなってしまうが。
そういう点では、脳は「効率」よりも「故障への対処」を優先させているようである。[