脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

道具使用と頭頂葉との関係

道具使用に伴って、体性感覚皮質に近い「頭頂葉」では、体性感覚を視覚情報とすりあわせて、「道具が身体の一部」であるかのように表象される。

例えば、サルが道具を使用すると、視覚受容野は、それまで「手だけ」だったものが、「手と道具の周囲を含む空間」へと拡張して表象する。

しかし、今までその道具を道具として使ったことがなければ、たとえその道具を持ってもそのような現象は起こらない。

つまり、道具の機能や使用意思を認知していない段階ではそのようなことは起こらない。

サルが使用意思を含まずに、道具を単に持っただけでは道具を身体の一部として認識しない。

それを手の延長として使おうという意図を持ったときのみ、実際に使われなくても、表象される。

ここに、「持つ」という行為と「未来で実現させる目的をもった」意図との分離が認められる。