脳情報発信所

過去に、gooブログに書いた記事を移植したものです

幻肢とはどのようなものなのだろうか

あたかもあるかのように感じる幻肢は、腕や脚を失った人ではかなり一般的に生じ、場合によっては数年続く。

失った腕や脚の大きさ、長さ、重さ、位置、運動などを感じる。
意図的に動かしているという感覚さえ生じる。

幻肢は、腕や脚を失ったのではなく、腕や脚から大脳へ至る感覚経路が遮断された人でも生じる。

幻肢が消失していく過程は、まず身体の切断面に近い部位がその生々しさを失う。
次に、抹消部が続き、そして関節、手のひら、足の裏、最後に指が消えていく。

先天的に腕がない子どもに幻肢が生じることもある。
幻肢のある少女は、幻の手を机の上に置き、指を広げて、指で数を数える。
さらに、その幻手で、他人の手をつかむと、暖かさや柔らかささえ感じる。

幻肢にはいろいろな感覚、暖かさや冷たさ、くすぐったさ、かゆみ、しびれ、硬さ、うごめき、伸縮、重み、痛みなどを伴う。

幻肢症状は、腕や脚以外にも、乳房、睾丸でも現れる。しかし、四肢に比べれば、それらの実在感の出現率はかなり低い。

参考資料→(私のブログ)「体性感覚野の身体地図」

記憶する体

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手に映る脳,脳を宿す手: 手の脳科学16章

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  • 発売日: 2020/08/31
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