大脳皮質の領野間結合は、「双方向」的である。
例えば、視覚信号は、第一次視覚野から高次視覚野、さらに前頭前野と頭頂連合野へと伝えられるとともに、逆方向にも伝えられる。
そのことによって、受容された情報が前頭前野へ伝わり、選択的注意を引き起こす。
その結果、前頭前野が、頭頂連合野とともに高次感覚野の活動を高めることが可能となる。
さらにさかのぼって、高次感覚野からの逆行性結合によって、初期感覚野にも活動が広がる。
このような大脳皮質の大きなループ(円環)によって情報の処理がさらに進められる。
しかし、第一次視覚野から前頭葉へは直接的結合がないけれども、下側頭葉皮質から前頭前野へ強い結合がある。
そのことによって、左右の目に違うパターンの情報を提示すると、左右眼視野闘争が起こる。
知覚されるパターンが数秒ごとに自動的に交代し、自分の意志で知覚を制御できない。つまり、前頭前野は、直接的結合のない第一次視覚野を制御できないから。
腹側視覚経路の途中にあるV4野では、約2割の細胞が知覚に対応する反応を示す。だから、左右眼視野闘争の舞台ではあり得ない。
それに対して、縞模様などよりももっと複雑な情報にしか反応しない下側頭葉皮質では、細胞の9割以上が、意識にのぼる知覚と対応した反応を示す。
参考資料→(私のブログ)「低次より高次が意識に近い」
参考資料→(私のブログ)「競合に勝ったものだけが生き残る」