脳進化に関する二種類の理論がある。
1)生き物はすべて自然の階梯上に並べられ、虫から天使や神へといたる系列をなすという「自然の階梯」的な脳進化論では、進化に従って新しい部分が付け加わることによって、脳は複雑化するという。脳は階層構造的に重層しているという考え方である。
2)新しい脳進化論では、基本的な脳部位はどの脊椎動物も持っているが、脳の各部位の大きさや形が変動することによって、多様性がもたらされたという。
脳はさまざまな部位に分かれているが、その内のどれが大きさや機能面で優位にあるかという点で、それぞれの種の違いが生まれているという。
脳のでき方は、少なくとも発生の初期の過程までは、全脊椎動物(哺乳類、両生類、鳥類、魚類など)を通じて高度に保存されているということが第二の脳進化論の根拠であるようだ。
しかし、脊椎動物という範疇内ではそれが成り立つかも知れないが、全動物に渡ってそれが成り立つといえるのだろうか。