いかなる種類の気づきも現れないうちに、すべての意識を伴う精神事象が、実際には無意識の段階で始まっている。
例えば、話したり、書いたりなどの思考、想像などなどの自発的行為においても、無意識段階で始まる。
話された内容が、話し手が意識的に言おうとしたことと異なる場合には、自分が話した内容を聞いた後に訂正する。
無意識が構成した内容を、意識がモニターしているという構図である。
私も、しゃべりながら、自分がこんな考えを持っていたのかと、しゃべっている自分の話を、聞いている自分が驚きながら、モニターしているときが時々あった。
時速160㌔の曲がった軌跡を示すサーブに反応するプロのテニス選手たちは、対戦相手のサーブの動きのパターンを自覚している。
とはいえ、ボールの位置に関しては自覚がない。
野球の投手が投げだ、時速145キロの、カーブや最後に沈み込むボールは、打者に届くまでには450㍉秒かかる。
打者が打つ決断をするのは200㍉秒ほど前である。その時には認知も決断も無意識である。
だから、一旦決断すると、意識にはそれを止めるだけの時間が残されていない。
参考資料→(私のブログ)「行動と意志と準備電位との関係」
参考資料→(私のブログ)「行動が起こる過程」
参考資料→(私のブログ)「意志決定から筋肉が動くまで150㍉秒必要」
- 作者:中野 信子
- 発売日: 2011/12/01
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