海馬にある「場所ニューロン」は、特定の場所に行ったときだけ発火する、場所の認知細胞である。
エピソード記憶には、必ず場所が必須の要素として入っている。
場所情報がしばしば記憶を呼び起こす際の手がかり(索引)として機能している。
- 発売日: 2017/02/24
- メディア: Kindle版
- 作者:渡辺 正峰
- 発売日: 2017/11/18
- メディア: 新書
扁桃体へは、あらゆる感覚連合野(内臓感覚も含む)からの情報が流れ込む。
その情報に生物学的な価値評価を与えるのが扁桃体である。
大脳辺縁系が担当する「情動」は、原始的本能的行動の情的部分である。
それは、
食欲、性欲、喉の渇きなどの動物の基本的な生理的欲求がもたらす情動と、
それが満たされたときの快感と満たされないときの不快感(具体的には、怒り、恐怖、不安、悲しみ、喜び、安心感、期待、落胆)である。
情動は、体験者本人が主観的に感じて、主観的に言語表現できる感情と、
肉体的反応(表情、動作、身体上の生理的変化)を通じて、外部に表出されるものとがある。
「こころ」はいかにして生まれるのか 最新脳科学で解き明かす「情動」 (ブルーバックス)
つながる脳科学 「心のしくみ」に迫る脳研究の最前線 (ブルーバックス)
MRI(核磁気共鳴断層撮影装置)は、解像度(精度)がものすごく高い。
さらにどのような角度からの断面でも撮影できる。
骨に邪魔されることもない。
また、組織の微妙な違いがコントラスト(黒い部分から白い部分までの幅や明度差)の違いとして表現される。
MRIによって、脳損傷が目で見て分かるようになった。
磁気刺激は、いろんな脳損傷状体を、健常者の脳に一時的に作り出す。磁気刺激では刺激している場所を厳密に同定できない。
磁気は、骨でも肉でも何でも通してしまうから、頭蓋の外から磁気刺激できる。
その刺激には痛みを伴わない。
磁気刺激を与えると、地場の変化が脳内に電流を発生させ、その電流がニューロンを反応させる。
図版は「歯の百科事典~歯医者さんとスタッフによるブログ~: ホムンクルスの小人」から借用、感謝。
カナダのペンフィールドは、20年以上に渡り、合計400人以上の患者の頭蓋を開いて、次々に脳に電気刺激を与え、その時どのような運動反応、感覚反応、精神反応が見られたかを詳細に記録した。
それによって、大脳皮質の運動野と体性感覚野の機能分担図(ホムンクルス)を作成した。
運動野と体性感覚野とで、分担している機能の分布場所はかなり対称しているように感じる。
参考資料→「体性感覚」(fromWikipedia)
脳の中の身体地図―ボディ・マップのおかげで、たいていのことがうまくいくわけ
頭が大きい人は、小さな人よりも糖代謝レベルが低い。
故に、糖代謝総量で見れば、脳の働きに頭の大小は関係がない。
進化しすぎた脳―中高生と語る「大脳生理学」の最前線 (ブルーバックス)
脳はいいかげんにできている その場しのぎの進化が生んだ人間らしさ (河出文庫)
脳の老化は個人差が激しく、糖尿、血圧、老人性疾患に心配のなく完全に健康であれば、脳の萎縮はほとんど起こらない。
80歳を過ぎても萎縮程度は5%程度である。
また、健康な人であれば、糖代謝総量は20歳から70歳までほとんど変化がない。
脳を鍛えるには運動しかない! 最新科学でわかった脳細胞の増やし方
「脳が老化」する前に知っておきたいこと (青春新書インテリジェンス)
認知症専門医が教える! 脳の老化を止めたければ 歯を守りなさい!
脳細胞は甦る ボケ、老化を防ぐ「脳の健康法」 (祥伝社黄金文庫)
「腸の力」であなたは変わる: 一生病気にならない、脳と体が強くなる食事法 (単行本)
脳損傷によって、漢字だけ読めなくなる、カナだけ読めなくなる人がいる。
「カナ」(カタカナとひらがな)の場合は、視覚野に入った情報は、「角回」へと回ってから、言語中枢に入る。
注)「角回」はブロードマンの脳地図における「39野」
「漢字」の場合には、視覚野から側頭葉下部を経て、言語中枢に入る。
注)ウエルニッケ(Wernicke)野(22野)は聴覚性言語中枢。
カナを読むよりも漢字を読む方が速い。
漢字は表意文字だから、すぐ意味が把握されるが、カナは表音文字だから、一度概念に翻訳されてから意味が把握される。
参考資料→(私のブログ)「文字解読の脳内処理順序」
参考資料→(私のブログ)「音から声(話し言葉)へ」
参考資料→(私のブログ)「自然発生する手話言語」
言語の脳科学―脳はどのようにことばを生みだすか (中公新書)
〈脳と文明〉の暗号: 言語と音楽、驚異の起源 (ハヤカワ文庫NF)
脳のなかの自己と他者: 身体性・社会性の認知脳科学と哲学 (越境する認知科学)
PET(陽電子放射断層撮影装置)は、脳内のさまざまな物質の動きをつかまえて画像化する。
脳活動の化学的な側面(例えば、酸素の消費、グルコースやアミノ酸の代謝、情報伝達物質の受容体)を捉える。
測定したい化学物質に放射能の標識をつけて脳内に送り込み、それの位置情報を検出して画像化する。
「ポジトロン断層法 - Wikipedia」
医学のあゆみ 脳機能イメージングの最前線 2019年 270巻9号 8月第5土曜特集[雑誌]
すぐに使える!fMRIデータの脳活動・機能的結合性の解析 SPM,SnPM,CONNを使いこなす
体性感覚野のうち、3a野と3b野はある程度の点対点対応が成り立ち、体部位再現図に近いものが描ける。
しかし、1野と2野では、対応関係が崩れて、一つのニューロンが複数の受容器から情報を受け取っており、その受容野は広く、点対点対応は成り立たない。
ところで、アクティブタッチ(能動的触覚)は、能動的に手を動かして積極的に獲得する感覚である。
それを可能にするためには、自分の手の動きも同時に検出し、その情報を統合する必要がある。
深部受容器と皮質受容器の情報が統合される領野は、体性感覚野のうち、2野である。
そこ(2野)でアクティブタッチ(能動的触覚)が成立する。
故に、高次の触覚認識は、アクティブタッチ(能動的触覚)が必要である。
触れることの科学 なぜ感じるのか どう感じるのか (河出文庫)
前頭葉の46野は、一度覚え込んだ行動を停止させる。
ここが、やっても無駄な行動はやるなという指令を出す。
脳を育て、夢をかなえる―脳の中の脳「前頭前野」のおどろくべき働きと、きたえ方 (くもんジュニアサイエンス)
脳を支配する前頭葉―人間らしさをもたらす脳の中枢 (ブルーバックス)